主な豚の種類
ランドレース種:
デンマークで改良して成立したデンマーク・ランドレース種が基礎となった一群の品種。被毛は白色、耳は垂れていて体長が長く、後躯(こうく)が充実しています。背脂肪が薄く赤肉率が高くて、発育も極めて早いのが特徴です。
大ヨークシャー種:
イギリス・ヨークシャー原産の白色、大型の品種。と体は赤肉率が高く、加工品の原料として高い評価を得ています。発育も早く、純粋種としてはランドレース種についで多数飼育されています。
中ヨークシャー種:
ヨークシャー原産の白色・中型の品種。昭和30(1955)年頃までは日本の豚の95%を占める主要品種でしたが、発育が遅いため大型種におされて頭数は激減しました。
バークシャー種:
バークシャー原産の黒色で、鼻端と四肢の先と尾の先の計6カ所が白い「黒六百」といわれる毛色の特徴を持つ中型種。肉質が優れ、日本では鹿児島(かごしま)地方に多く飼育されており、「黒豚」の名で親しまれています。
ハンプシャー種:
北米コーンベルト地帯原産の品種。毛色は黒地に肩の部分に白い帯があります。性質は活発、採食性が強いので放飼に適しています。体質は強健ですが、耐暑性がやや劣ります。
デュロック種:
合衆国東部原産の赤色の品種。耳は立っていますが、先端の2/3が前方に垂れる半垂耳。体質は強健で飼いやすい品種として有名ですが、四肢の故障が出やすいのが欠点です。
雑種と系統造成
交雑種を作出
雑種強勢とは、雑種である子の能力が、両親よりもすぐれている現象のことをいい、特に強健性(病気のかかりにくさなど)に効果があらわれます。
たとえば、繁殖能力に優れたランドレースや大ヨークシャーを母豚に、産肉能力の優れたデュロックやハンプシャーを父豚にして、両親よりもさらに優れた能力をもつ雑種の作出を行います。
強い雑種強勢の効果を期待するためには、両親となる個体がお互いに遠い血縁関係にあり、双方とも遺伝的に純粋な個体であることが必要です。そのため、品種の中にさらに近親交配(親子、兄弟のような近縁でのかけ合わせ)を重ねて複数の系統(ストレイン)を作り、その異なる系統の個体同士をかけ合わせて交雑種を作り出すようになってきました。
三元交雑、四元交雑
雑種強勢は、発育や強健性といった形質にだけでなく、繁殖力(早熟性・多産性・哺乳能力)にもあらわれます。
そのため実用畜を生産する母方の個体にも雑種強勢を利用しようと、三元交雑、四元交雑という方式もよく行われています。
A系統×B系統―交配→ABの交雑種(通常の二元交雑)
ABの交雑種(♀)×C系統(♂)―交配→ABCの交雑種(三元交雑)
ABCの交雑種(♀)×D系統(♂)―交配→ABCDの交雑種(四元交雑
実は豚肉は栄養満点
タンパク質と脂肪
豚肉は必須(ひっす)アミノ酸をバランスよく豊富に含み、吸収効率にも優れた良質のタンパク質源です。1人当たりの豚肉消費量が群を抜いている沖縄県は健康な長寿者が多いことで知られ、豚肉のタンパク質が病気予防に効果があることがうかがえます。
また豚肉の脂肪は酸化しにくいため、効率のよいエネルギー源となります。コレステロールもその一種で、体内の細胞膜を構成する重要な脂肪です。ほかにも牛・豚肉に多く含まれる飽和脂肪酸のステアリン酸や一価不飽和脂肪酸のオレイン酸は、血清コレステロール値を下げたり、必要以上に上昇させない作用を持つことが知られています。
豚肉は「ビタミンB1の宝庫」
ビタミンB1はスタミナのもとになる重要な栄養素です。豚肉にはほかの食肉と比べてビタミンB1が数倍も含まれており、豚肉100gを食べるだけで、1日の必要量を満たすことができます。しかも加熱しても壊れにくく、体内での吸収効率に優れています。
成長を促進するビタミンB2、抗酸化作用があり若さを保つといわれるビタミンEは、豚レバー中に多く含まれます。そのほか、体を構成し代謝を調節する働きがあるカリウム、リン、イオウなどのミネラルも豚肉に多く含まれています。
豚肉の部位について

ウデ
特徴:運動量が特に多い部分の為、筋肉質で脂肪も程良く少なめに混ざっています。少し硬めですが、味は濃くしっかりしたうま味のある肉です。
おすすめの料理方法
煮込み料理・シチュー・カレー
肩・肩ロース
特徴:もっとも豚肉らしい深い風味の部分で、脂肪がほどよく入ってほとんどの肉料理に利用できます。
おすすめの料理方法
トンカツ・炒め物・すき焼き・ローストポーク
ロース
特徴:キメが細かく、肉質も軟らかいので豚肉の中でも高級な部分です。ふちの脂身の部分にうま味が濃縮されています。
おすすめの料理方法
トンカツ・すき焼き・豚しゃぶ・ソテー・焼き豚・ロースハム
ヒレ
特徴:標準的な豚から1kgしか取れない貴重な部位。ふちの脂身の部分にうま味が濃縮されています。
おすすめの料理方法
トンカツ・ソテー・焼き豚
バラ
特徴:赤身と脂肪の層が3段階位になっていて、別名「3枚肉」とも呼ばれています。風味とコクに優れ、ベーコンはこの部分を使用して作られる。骨付きのものはスペアリブと呼ばれる。
おすすめの料理方法
角煮・焼き豚・煮込み料理・酢豚・炒め物
モモ
特徴:赤身中心の大きな筋肉の固まりで、キメが細かく脂肪を好まない人には最適の部位です。この部分をハムにしたのがボンレスハムです。
おすすめの料理方法
ソテー・焼き豚・ひき肉料理
ソトモモ
特徴:おしりに近い部位。赤身をを主体とした部位で、肉食の濃い部分はきめが粗いので薄切りにするか煮込み料理に利用します。味は少し淡白でほとんどの料理に適しています。
おすすめの料理方法
煮込み料理・ソテー・焼き豚・ひき肉料理